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イベントレポート
シード資金調達を目指すスタートアップのための1on1サーキットプログラム『KANSAI SEED NEXT FORCE 2025』開催レポート
2025年6月13日(金)に開催した『KANSAI SEED NEXT FORCE 2025』のレポートをお届けします。
KANSAI SEED NEXT FORCEは、単なる「投資家との壁打ち」を目的としたイベントではありません。
本プログラムの最大の目的は、関西をはじめとする地域で社会課題に挑む起業家たちに、本質的な成長につながる資金と機会を届けることにあります。この背景には、有力なベンチャーキャピタルの多くが首都圏に集中し、地域のスタートアップが資金調達の機会にアクセスしづらいという課題があります。
KANSAI SEED NEXT FORCEは、このネットワークギャップの解消と、起業家と投資家が本気で資金調達を前に進められる状況づくりに徹底的にこだわった、戦略的な地域創生プログラムです。
またひとつひとつのプロセスには、明確な意味と目的があります。STORIUMと起業家の皆さんが、どのような想いでこの場を設計し、準備してきたのか。本レポートでは、そのプロセスや背景を共有することで、スタートアップ支援のあり方を本質的に問い直し、この仕組みが日本中の起業家に広がっていくきっかけとなれれば嬉しいです。
それでは、ぜひご覧ください。
まずはプログラム当日の熱量を感じていただきたい
当日の雰囲気や現場の熱量をお伝えすべく、本年は記録映像を制作しました。百聞は一見にしかず。ぜひご覧いただき、リアルな空気感を感じていただければ幸いです。
■ KANSAI SEED NEXT FORCE 2025 ダイジェスト映像
■ KANSAI SEED NEXT FORCE 2025 参加者インタビュー映像
起業家と投資家が「本気」で向き合える、意味ある出会いの場をつくるために
ここからは、プログラム開催当日に至るまでのプロセスと、その設計に込めた背景や意図について紹介します。
本プログラムでは、「VC出資未実施」「リードVC未定」「CEOの現地参加」など、厳選されたエントリー要件を設けたうえで、参加スタートアップを募集しました。60社を超える応募の中から、書類選考および個別面談を経て、最終的に21社のスタートアップを選出しています。
選出後も、起業家の皆さんには当日に向けた徹底した準備をお願いしました。 特に、STORIUMのカタリストとの複数回の個別セッションでは、ピッチ資料のブラッシュアップや事業方針の言語化・精緻化を行い、限られた面談時間の中で最大限の成果が引き出せるよう、対話の質を高める準備を積み重ねてきました。
STORIUMでは、この準備プロセスそのものを「出会いの質を高める本質的な設計」と位置づけています。手間と時間はかかりますが、だからこそ事業の解像度が上がり、対話の深度が増す。さらに、そこで得られた情報は、相性を重視した1on1マッチング設計にも活用され、より確度の高い出会いへとつながっています。
一方、投資家の皆さんには、プログラムの1週間前から全スタートアップのピッチ資料に加え、生成AIを活用して公開情報を整理・編集した「AIアナライズレポート」を事前に共有。
限られた30分の面談を、自己紹介で終わらせるのではなく、初手から本質的な議論に踏み込める状態をつくることを重視しました。
こうした事前準備と設計へのこだわりを経て、当日はスタートアップ21社とVC23社による204件の1on1面談が実現しました。

全204件の1on1面談。起業家たちの熱量は大きなうねりに
スタートアップ・投資家の皆さんが綿密な準備を重ねて臨んだ当日。12時30分に1セッション目がスタートしました。

以降は3セッションごとに適宜休憩を挟みながら、19時まで計204回の「本気の1on1面談」を継続。終始、怒涛の熱量が会場を包み込み、その勢いは最後まで衰えることはありませんでした。


終了後、スタートアップの皆さんからは、 「最短で本題に入れました」 「事前に資料をよく読み込んで臨んでくださったVCの方が多く、起業家へのリスペクトを感じて感動しました」 といった声も多く寄せられ、良質で意義のある面談機会をお届けできました。
全セッション終了後は、グラングリーン大阪3階にあるさくらインターネット運営の「Blooming Camp」へ会場を移し、参加者・共催団体・協力機関が集うミートアップを開催。
長丁場の面談を終えた起業家同士が労い合い、投資家との続きを語らうなど、今後につながる前向きな交流が広がる、温かなひとときとなりました。

本プログラムへの参加者の評価と改善点
プログラム終了後には、参加者の皆さんに手応えや感想を伺うアンケートを実施しました。全員から回答をいただき、好意的な評価が寄せられています。ここでいくつか、いただいた感想をご紹介したいと思います。
スタートアップの声
■ 株式会社BIOTECHWORKS-H2 CEO & Founder 西川 明秀さん
「ごみから水素をつくって、未来のエネルギーに変える」なんて話、最初は誰も本気にしてくれませんでした。しかしながら、今回のKANSAI SEED NEXT FORCEでは、ただ資金を求めるのではなく、「本気で社会を変えたい仲間」と出会える時間でした。 たった30分でも、想いと未来が交差すれば、ここまで熱く、深く語りあえるのか、事業の本質に切り込んでくれるのかと、VCの存在が本当にありがたく、スタートアップとして次の一歩に向けた確信を持てました。社会課題に挑むスタートアップとして、関西から世界に届くインパクトをつくっていきたいと思います!
■ SocialBridge株式会社 代表取締役CEO 宋 浩典さん
一度にベンチャーキャピタル業界でも名だたる方々にお会いできたこと、大変感謝しています。また独立系、金融機関系、とタイプごとにも複数の投資家の方々にお会いできたのは大変助かりました。出自による考え方の違い、キャピタリストさんによる違いを理解できました。キャピタリストの方々とのディスカッションから自分たちの事業の未来の可能性が広がったことが1番参加して良かったです。事業にフォーカスしていると見えない木を見て森を見る視点や、様々な形での事例を教えていただけました。自分たちの事業を成長させていく上で大変貴重な機会をいただけたことに心から感謝しております。
■株式会社Surg storage 代表取締役CEO 平尾 彰浩さん
関西 SEED NEXT FORCE 2025では、著名VCの皆様から、医療DX領域に関する鋭い視点と実践的なご意見を多数いただきました。特に医療データ事業のスケーラビリティや規制対応については、VCの方々からの指摘を受け、戦略の再確認につながりました。また、10社ものVCと一日に濃密に面談できたことで、従来1か月程度かかっていたステップが短縮され、極めて高効率かつ質の高い一日となりました。頂いたフィードバックを活かし、医療機関との連携を強化、新たなサービス創出を通じた事業展開を一層推進してまいります。
投資家の声
■ アニマルスピリッツ 代表パートナー 朝倉 祐介さん
昨年に続き2年連続で参加となりましたが、関西圏を始め、普段はお会いする機会の少ないスタートアップの皆さんとお会いすることができ、各地域の新たな可能性を発見する機会になりました。 起業家の皆さんにとっても、多数のVCから大量にインプットを受けることで、事業を飛躍させる手掛かりを掴む機会になったのではないかと思います。
■ Archetype Ventures Partner 北原 宏和さん
国内各地から多様な起業家が集結し、参加者誰もが事前に資料に目を通し、発射台高く、一気に本質的な議論が展開されていくハイクオリティなプログラムでした。参加スタートアップの領域は生成AI、エネルギー、資源、ヘルスケアと多岐に渡り、日本はもちろんグローバルへと意識を向けているところもあり、ポテンシャルの高さを強く感じました。本プログラムで会って終わりではなく、継続的に議論していきたいと思います。 STORIUM、U-FINO、阪急阪急不動産、KSII をはじめとする関西圏の団体・企業の皆さん、そして本プログラムでご一緒したすべての起業家の皆さん、この度は本当にありがとうございました。
■ BIG Impact株式会社 代表取締役CEO 細野 尚孝さん
KANSAI SEED NEXT FORCEには昨年に引き続き参加しました。関西のスタートアップシーンが持つ熱量と多様な可能性を力強く引き出す素晴らしいプログラムで、運営チームのSTORIUMさんには大変感謝しています。関西には世界に挑む力が多く潜んでいます。今後もぜひ継続いただき、神戸から関西、日本を盛り上げる私たちBIG Impactとの連携も深めさせていただければ幸いです。将来的には海外展開も視野に、関西からさらなる挑戦を共に生み出しましょう!
主催・協賛・共催団体の声
■ 一般社団法人うめきた未来イノベーション機構 マネージャー 渡邉 秀斗さん
今回のプログラムでは、STORIUM様と共同で、スタートアップとVCの双方にとって実効性の高い出会いの場を実現できたことを大変嬉しく思います。特に、関西が抱える「資金調達機会の非対称性」といった構造的な課題に対し、KANSAI SEED NEXT FORCEでのアプローチを通じて有益な機会を主催できたことは、私たちにとっても大きな成果となりました。今後も、グラングリーン大阪・JAM BASEを起点に、志ある起業家と多様な支援者が交差し、新たな挑戦が生まれる“ハブ”としての機能を強化しながら、関西発のスタートアップ・エコシステムの持続的な発展に貢献してまいります。
■ 阪急阪神不動産株式会社 吉田 碧生さん
大阪・関西の玄関口である「梅田」と、阪急・阪神沿線を中心に事業活動を行う私たちにとって、都市機能と生活基盤の両面から起業家に機会を提供することは重要なテーマの一つです。 挑戦する起業家とそれを後押しする投資家が梅田に集まり多くの出会いが生まれた、本プログラムに協賛できたことを嬉しく思います。 リスクマネー対策やネットワーク形成が課題となる中、大阪・関西の強みを活かした資金調達や成長支援の選択肢を拡げることができた意義のある機会となりました。今後もスタートアップと投資家の接点づくりをサポートして出会いと交流の促進を図り、新たな価値を生み出すまちづくりを行っていきます。
■ 関西イノベーションイニシアティブ(KSII) 事業リーダー 廣谷 大地さん
今回、多数の国内有力VCと大学発を含むスタートアップとの接点と対話が創出されたことは、共催者として、また地域エコシステムの推進団体として、喜ばしく感じています。半日にわたり繰り広げられた濃密な面談をきっかけに、社会課題を解決するスタートアップが生まれ育ち、技術等の社会実装が加速することを願ってやみません。関西エリアの大学横断ネットワークを基盤に、今回参加されたVCや関係団体との繋がりを活かしながら、スタートアップ・エコシステムの発展に貢献してまいります。
このほかにも、
「参加までの丁寧なプロセスや関係者の熱量の高さが、スタートアップにとって心強く、価値のあるプログラムだった」 「起業家とのインタビュー内容やバックグラウンドを事前に知れるのはとても良かった」 といった声も寄せられており、事前準備や当日の運営についても好意的な評価をいただきました。
このあとには、参加者アンケートの集計結果をご紹介します。


このように好意的な評価をいただく一方で、参加者の皆さんからは「事前に参照する情報量が多く負荷があった」や、「密な面談スケジュールで体力的な負担を感じた」など、改善に向けた貴重なご意見もいただきました。いただいた声は一つひとつ丁寧に振り返り、次回以降の運営に具体的な改善策として反映してまいります。
最後に
私たちはこれからも、STORIUMに集う有力な投資家と全国の起業家をつなぐ仕組みと機会を広げ、継続的な出会いを生み出していきたいと考えています。
次世代のイノベーションを共に創造するステークホルダーが本気で向き合えるネットワーキング環境をこれからも丁寧に育てていきます。
本レポートを通じて、STORIUMの理念が少しでも伝われば嬉しいです。STORIUMの取り組みや今後の展開にご関心のある方は、どうかお気軽にご連絡ください。